著書・訳書

「境界性パーソナリティ障害治療ハンドブック ー<有害な治療>に陥らないための技術ー(J.G. ガンダーソン著、黒田章史訳、岩崎学術出版)」

  ■訳者あとがき   あなたが医療あるいは臨床心理に携わる専門職であるか、この疾患に悩んでいるご当人 であるか、ご家族であるかはひとまず問わないことにしよう。本書を手に取ったからに は、あなたは境界性パーソナリティ障害(BPD)に多少なりとも興味を持っているはずで ある。J.G.ガンダーソンによって著(あらわ)された本書は、そのような人たちのいずれ に対しても、必要最小限の正確な知識を提供するためのものである。 必要最小限の知識なんて、わざわざ本書など読まなくても、今どきネットやメディア を通していくらでも身につけられると思う人もいるかもしれない。そう思う人はこれか らBPDの基礎知識に関していくつか問題を出すので、どれほど答えられるか試しに解い てみてほしい。採点は1=正しい、2=間違いではないが、適切とは言えない、3=間違 っているだけでなく、有害ですらある、という形でつけ

パリスの著作における訳語の訂正について(2014年 5月12日)

2014年4月末に金剛出版より刊行されましたジョエル・パリス著「境界性パーソナリティ障害の治療ーエビデンスに基づく治療指針ー」について、一部の訳語および訳文に誤りが認められましたので、以下のように訂正いたします。 なお今後の出荷分については金剛出版より正誤表が挟まれることになっております。 すでに購入された方にはお詫びするとともに、以下のような形で訂正した上でお読みいただくようお願い申し上げます。   ■正誤表 1.「合併」を「併存」に変更する箇所 p.9 目次の10行目(「合併症と併存症」 → 「併存症と共発生症」) p.36 22行目(全国合併症研究 → 全国併存症研究) p.37  12行目(全国合併症追試研究 → 全国併存症追試研究) p.45 5行目(見出し)、12行目、17行目、20行目 p.46 8行目 p.56 31行目、32行目 p.62 16行目(見出し)、1

「治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害 治療ガイド(黒田章史著、岩崎学術出版)」

■あとがき 意図したわけではないが、本書はずいぶん変わった本になってしまったと自分でも思う。それは本書で取り上げられている治療構造や治療技法が、既存の書物とは異なっていることも一因ではあるけれど、それ以上にー本書の第三章の用語を用いるならーBPD患者が「治る」という言葉の意味のプロトタイプ(典型例)が大きく異なるためである。言うまでもないことだが、世の中にはBPDに対してさまざまな治療法があり、それに応じてさまざまな「治り方」があることだろう。しかしそれらさまざまな「治り方」のうち、どのような「治り方」がBPDの典型的なふつうの「治り方」であり、どのような「治り方」がそうでないかを評価する際に、私は今や他の論者とはずいぶん異なる判断をするようになってしまった。 では私にとっての「治る」とはどのようなことを言うのかと問われるなら、本書の第七章と第八章を見てくださいと答えるしかない。そこではD

「境界性パーソナリティ障害の治療ーエビデンスに 基づく治療指針ー(J・パリス著、黒田章史訳、金剛 出版)」

■訳者あとがき   「Get a life」という言い回しがある。取るに足らぬこと、見込みのないことに多くの時間を費やしている人物に対して、それまでのやり方を見直すように促す慣用句である。本書の第9章に登場するこの言葉は、ある意味で本書のキーワードと言って良いかも知れない。最近得られた実証的データに基づき、BPD患者の治療に携わる専門家に対して、家族に対して、そして何よりもBPD患者自身に対して、本書の著者であるパリスは、以下のような形で「Get a life」と繰り返し呼びかけているのだから。 まずパリスはBPDを他の何らかの障害(の異型)とみなし、この診断をつけることを回避するのを止めるよう専門家に対して呼びかける。BPDを無視したところで、こうした患者が抱える症状や問題が消えてなくなってくれるわけではないし、仮に大うつ病や双極性障害などと診断して薬物療法を試みたところで、そ