
「治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害 治療ガイド(黒田章史著、岩崎学術出版)」
■あとがき 意図したわけではないが、本書はずいぶん変わった本になってしまったと自分でも思う。それは本書で取り上げられている治療構造や治療技法が、既存の書物とは異なっていることも一因ではあるけれど、それ以上にー本書の第三章の用語を用いるならーBPD患者が「治る」という言葉の意味のプロトタイプ(典型例)が大きく異なるためである。言うまでもないことだが、世の中にはBPDに対してさまざまな治療法があり、それに応じてさまざまな「治り方」があることだろう。しかしそれらさまざまな「治り方」のうち、どのような「治り方」がBPDの典型的なふつうの「治り方」であり、どのような「治り方」がそうでないかを評価する際に、私は今や他の論者とはずいぶん異なる判断をするようになってしまった。 では私にとっての「治る」とはどのようなことを言うのかと問われるなら、本書の第七章と第八章を見てくださいと答えるしかない。そこではD


