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境界性パーソナリティ症(BPD)の治療者や家族はどのようなことに困っているかー質問集その1ー

このたび境界性パーソナリティ症(障害)について、新しい書物を上梓することになった。

境界性パーソナリティ障害(BPD)の治療に携わっていると、必ずと言ってよいほど突き当たる問いがある。

「治るとは、どういう状態を指すのか」
「どこまで良くなれば終結と言えるのか」
「そもそもパーソナリティ症は治るのか」

これらの問いは、決して抽象的な理論上の問題ではない。
日々の臨床のなかで、あるいは家族として苦悩の時間を重ねるなかで、切実な思いとして発せられてきたものである。

BPDをめぐる議論では、しばしば「症状が落ち着くこと」と、「回復すること」、「社会適応が可能になること」や「内面の安定が得られること」が混同されがちである。

そのため、「治る」という言葉が何を意味しているのかが曖昧なまま語られてしまうことも少なくない。

本書第1章第1節では、「BPDが〈治る〉とはどういうことか」というテーマのもと、治療者や家族から実際に寄せられた質問を取り上げている。

それらは理論的な疑問というよりも、迷いや不安、希望と現実の間で揺れる中から生まれた、切実な問いである。

これから、それらの質問部分のみを何回かに分けて公開したいと思う。

回答の詳細については、刊行される書籍を参照してもらうことになるが、問いそのものを読むだけでも、現在BPDと向き合っておられる専門家やご家族にとって、自身の立ち位置を見つめ直す手がかりになると思う。

「治る」という言葉を、安易に楽観視することも、悲観的に否定することもせず、あらためてその意味を問い直す。

そのための出発点として、これらの質問をお読みいただければ幸いである。

 

Q1.治療が終結し、治った患者とはどのような状態を指すのでしょう。どのような状態になれば治療終結として良いのでしょうか。(治療者)

Q2.“治る”ということがイメージできません。パーソナリティ症が“治る”とは、どういうことですか?(家族)

Q3:パーソナリティ症は治すことが出来るのでしょうか?。主治医やカウンセラーからは、「性格の問題だから治らない」と言われているのですが。(家族)

Q4:手首を切ったり、すぐに怒ったり暴れたりといった症状が収まってからずいぶん経つのですが、たまにアルバイトに出ては辞めることを繰り返すだけです。<もう治った>と言って通院も止めてしまいましたが、このまま様子を見ていていいものか迷っています(家族)

Q5:BPDに関する本はたくさんありますが、どの本を読んでも具体的にどこがどう治るのか良くわかりません。この病気は治らないのでしょうか?(家族)

 

次回以降は、著作の章立てに沿って、質問部分を公開していくことにする。